スタッフブログ子どもと美術館
第7回 「子ども学芸員の旅」を開催しました!
更新日:2014年8月1日(金)
昨日までの二日間、今年で7回目となる「子ども学芸員の旅」を開催しました!
主催は「尾道市美術館ネットワーク」。
尾道市内の6つの美術館・博物館を巡る一泊二日の旅です。
市内の小学4〜6年生、48人の子どもたち、
そして、尾道市立大学で美術を学ぶ大学生スタッフたちが一緒に、
生口島・瀬戸田から御調まで。
一泊二日で、美術館と博物館、文化施設などを回ります。
旅の様子は・・・
少しずつ、
twitterでもお届けしましたが、
今日は、なかた美術館のワークショップについて、詳しく紹介したいと思います。
当館では、現在「コレクションにみる“静かなもの” × BOOKS」を開催中です。
なかた美術館で初のグループ展形式の現代美術展であるこの展覧会。
出品している作家の稲川豊さんプロデュースで、 『受け入れて制作する』 というワークショップを行いました。
稲川さんの作品には、ばらばらになった写真のイメージが、たくさん組みあわせてられて登場します。
まずはどんなイメージがあるのか、観察しながらスケッチ。
そして、自分たちでも写真を切って組み合わせ、
カーボン紙の上に重ねて、なぞって、そのイメージをトレースしていきます。
そうして、できた下絵を、次はなんと自分のお隣さんに回してみます。
そうすると自分の手元にも、お隣から絵が回ってくるわけですが、なんとここに、自由に落書きをしちゃいましょうという企画です。
ええー!?という驚きの声
最初は戸惑っていたみなさんも、
となりに回しては加筆、回しては加筆・・・と続けていくうちに、どんどん激しく手を加えていました。
自分を入れると12人分、一周するまでそれを繰り返します。
落書きを楽しみつつも、戻ってきた自分の絵にも当然、多くの人の手が加わっているので、めちゃくちゃ!
こんなはずじゃなかった・・・と思いながらも、なんとか色を塗って、完成・・・
と、思いきや、実は最後にもうひとつ驚きが・・・。
この絵の下には、最初にカーボン紙と画用紙を挟んでおいたので、
それをめくってみると・・・落書きしていたつもりのものが、ぜーんぶ転写されて残ってる。という仕掛けです。
自分ではない人の手が加わった線や形。
「自分の絵ではない」と思ったものに、思いっきり描いた線や形。
その二つの絵は、自分で自分の絵に描いているだけでは、絶対に生まれなかった線や形を持っています。
自分の思い通りに絵を描く。それが当たり前で、普通のやり方です。
でも、コントロールできることだけで描いていくと、どこかで限界を迎えることもあるのではないでしょうか。
「当たり前」を、一度壊してみること。
思いもよらない偶然やアクシデントを、まさに「受け入れて」いくこと。
あるいは、自分の絵であるという自意識を捨ててみること。
それは全く新しい、まだ見ぬものを作っていく方法のひとつです。
子ども達にとっては、刺激的で、すこし難しい内容だったかもしれません。
でも、これからの時代に絵を描くこと、ものを作ること、美術やアートと呼ばれるものに関わるには、こうした実験的なことはつきもので、しかし、なかなか学校では体験できないことだったりします。
そして子ども達には、稲川さんと直接交流して欲しいなというのも、ねらいのひとつです。
「芸術家」とか「画家」とか、「現代アーティスト」という言葉は知ってはいても、実際には遠い存在ではないでしょうか。
稲川さんは、ちょっと難しいことを言っているけど、なんだか気さくで、にこにこしていて、おしゃれなお兄ちゃん。
こういう生の体験が、子ども達の世界をぐっと広げてくれるんじゃないかなと、願っています。
「子ども学芸員の旅」の二日間にはこうした生の体験が、各館それぞれの特徴にあわせて、かなりのバラエティで満ちています。
毎年とっても暑いし、大人はへとへとになりますが、子ども達の圧倒的な元気や笑顔、
友達が増えていく様子、旅の終わりのきりっとした表情なんかを見ると、ああ、本当にがんばろう!と思います。
来年からも、引き続きよりよい形をめざしつつ、開催していきます。
どうぞよろしくお願いいたします!