スタッフブログコンサート
「Throwing a Spoon ピアノとチェロの音楽会」
更新日:2019年5月19日(日)
先日、久しぶりの夜のコンサートとして「Throwing a Spoon ピアノとチェロの音楽会」を開催しました。
尾道在住の鍵盤奏者トウヤマタケオさんと、
チェリストの徳澤青弦さんのデュオである
「Throwing a Spoon」(スローイング ア スプーン)による音楽会です。
当館では、これまでも何度か二人をお招きしていますが、
今回は新しいアルバムのリリースツアーということで、新曲をたくさん連れてきてくださいました。
ピアノとチェロが付かず離れず、適度な距離を保ちながら、
でも隣合わせにしっくりとなじんで、ひとつの旋律を奏でていきます。
音は確かに、展示室いっぱいに響いて届いているのに、気持ちは不思議と静けさのなかにいるようでした。
そして、この日はスペシャルゲストとして画家nakaban(なかばん)さんをお招きして、3人でのミニトークを行いました。
nakabanさんとトウヤマさんは「ランテルナムジカ」というユニットで活動しており、
(昨年夏の「音と光の音楽会」では、素敵な演奏と幻燈を披露していただきました)
この度のアルバムの印象的なジャケットも、nakabanさんによる版画作品です。
版画という手法は直接描くのとは異なり、まず版を彫るという工程をはさむこと、
そして刷る段階で、一気に完成へと至ります。
そのため、たくさんの手数も、複雑な絵柄も、シンプルにすっきり見えるというお話や、
本来ならば内緒にしておきたいであろう“元ネタ”ともいうべきものとして、
ヨーロッパの民衆版画の画集を持ってきてくださり、そのイメージについてもお話いただきました。
トウヤマさんも青弦さんも、さまざまな音楽家の方と共演する機会も多く、
サポートからソロ、作曲や舞台まで、幅広いお仕事をされています。
そんなお二人には、Throwing a Spoonだからこその面白さ、あるいはままならないことについてお話していただきました。
作り手として己や楽器が持つエゴについて、
思い通りにいかないことの良さ、
絵を描くことと音楽をすることにどう向き合うか、
そして Throwing a Spoon(匙を投げる) のお名前に隠された由来(?)などなど、
お話に花が咲きました。
シンプルなライブも良いですが、もっともっと考えてみたくなるようなお話のあとは、
演奏がひときわおもしろく、心地よく響いたのではないかと思います。
ライブならではのアレンジや即興もあり、音楽が生まれていく瞬間を眺めたり
音や絵のことを思い思いに考えて楽しむ、そんな時間になりました。
ご来場いただいた皆様、お世話になった皆様、
そしてご出演の素敵なお二人とnakabanさん、どうもありがとうございました。