スタッフブログ子どもと美術館
第5回「子ども学芸員の旅」!
更新日:2012年8月9日(木)
尾道市内の7つの文化施設を、一泊二日で巡る「子ども学芸員の旅」。
今年で5回目の開催を無事終えました。
当館と、尾道市立美術館、尾道市立大学美術館、圓鍔勝三彫刻美術館、
平山郁夫美術館、耕三寺博物館でつくる「尾道市美術館ネットワーク」の主催。
御調、尾道市街、因島、生口島で、各施設を巡り、様々な体験学習に取り組みます。
今年は尾道市内の18の小学校から、48名の児童が参加。
尾道市立大学美術学科からのスタッフは、10名に増えました。
ここでは、1日目に取り組んだ、なかた美術館でのワークショップについて詳しくご紹介します。
題して『目を見る眼』。
作品の中の「目」に注目し、その目が何を見ているか考えてみようというもの。
まずは、じっくり時間をかけて、作品を見てみます。
「何が描いてある?」
「これはなに?」
という単純な質問から、どんどん物語がふくらんでいきます。
そして絵の中に描かれた、たくさんの大きな目に注目します。
実は、古武家さんの平面的で装飾的な画面の中で、目だけに唯一、ハイライトが入れられているのです。
初期から一貫して、大きく光る目を描いてきた理由は、
「人間同士でも、目が一番、多くのことを伝えると思うから」とのこと。
第二段階では、自分の好きな目をスケッチ。
色画用紙で、模様などをかたどって、カラフルな「ノート」に仕立て、
その目がいったい何を見ているのか、言葉にして書きこんでいきます。
子ども達の言葉から少しご紹介します。
「悲しみを見つめている。」
「どこか遠くを見つめている。」
「自分たちの家を見ている。」
「すごく青い空を見ている。」
「人間の世界を見ている。」
などなど。
作品の中に描かれているもの、作品の奥にあるもの、作品には描かれていないもの。
あるいは、作品の外の「見ている私達」の側にあるものまで。
作品の目と、私達の目。
目と目を合わせて、想像すること。
作品を見るのは、人間同士のコミュニケーションと、とても似ているのかもしれません。
今年は、「観賞」に重点を置いた年でもあり、
それぞれの館で、作品を見て対話したり、物づくりと絡めて発展させるなど、工夫をしました。
また、写真のワークショップも複数行われました。
デジタルカメラを利用したり、日光写真やピンホールカメラでの撮影にも挑戦。
「見る」ことや「光をとらえる」ことについて、考えるヒントがたくさんです。
そのほか、本格的な陶芸の体験、和紙の「にじみ」を利用したうちわ作り、
尾道の「市技」囲碁の体験、サンセットビーチでの水遊び、等々・・・。
本当に盛りだくさん、あっという間の濃い二日間でした。
みんな、たくさんの友達と、楽しい思い出を作ってくれたようです。
その中にきっと、いろんな形のアートとか芸術が重なっていることが、とても嬉しいです。
送り出してくださった保護者の方々、支援してくださった多くの皆様、
大きな力となってくれた大学生スタッフ、最後までがんばった子ども達に感謝です。
本当にどうもありがとうございました!
子ども学芸員達の活動や出来上がった作品は、
9月15日(土)〜9月23日(日)
第5回「子ども学芸員の旅」作品展
なかた美術館第一展示室にて展示します!
どうぞお楽しみに。