スタッフブログnakata Labs なかたラボ
「OPEN STUDIO/ON AIR」 「絵画の水と地図」
更新日:2012年9月5日(水)
「OPEN STUDIO/ON AIR」が終了しました。
複雑に入り組んだ、尾道の斜面地や路地に点在するアトリエ・スタジオを、
期間限定でオープンしてもらい、参加者が自由に巡るというこの企画。
本当にあっという間の、濃厚な二週間でした。
暑さと、複雑さが心配でしたが、思った以上に多くの反響をいただきました。
ものが生まれる現場を見ながら、新しい視点で尾道を歩くことで、
ひとつでもふたつでも、何か発見をしていただけたのではないでしょうか。
さて、なかた美術館では、関連企画として
先週末にレクチャーツアー「絵画の水と地図」を開催しました。
画家・批評家の古谷利裕さんをお招きして、
講義、まちあるき、ディスカッションという三部仕立ての長丁場。
第1部では、館内に椅子とホワイトボードを並べての「講義」です。
創作における「表現」という言葉について、「変換」という概念について。
マティスの《赤い部屋》を例にして、色や形の機能や、その構造について学びました。
大学の授業を懐かしく思い出します。
第2部のツアーでは、参加者とともに「OPEN STUDIO/ON AIR」のスタジオを巡ります。
奇跡的に涼しく、尾道の風景を横目に路地を進み、
大学生達のシェアハウス兼アトリエや、クリエイティビティ溢れる酒屋さん、
廃屋を利用した作品などを見てまわりました。
第3部では、古谷さんの作品を、スライドで紹介していただきながらのディスカッション。
構築的な色や線が印象的です。
尾道に住む若いアーティストたちに、それぞれポートフォリオも紹介してもらいながら、
質疑応答を交えて話しました。
はじめに置く“一筆目”のこと。
それぞれの線の機能と響き合い。
文章を書くときと、絵を描くときの方向について。
分析する「フレーム」のこと。
「絵画」と「行為」の違い・・・等々
絵画と言葉という、相容れないものに同時に思いを馳せながら、
様々な思考を、スープのように煮込んだ夜でした。
終わってみると、21時近くになっていました。
翌「OPEN STUDIO / ON AIR」最後の夜にも、
古谷さんを含めて色々な方に集まっていただき、
丁寧な言葉で、多くの気づきや、刺激をやりとりしてくださったようです。
古谷さんのブログ「偽日記」はこちら→ http://d.hatena.ne.jp/furuyatoshihiro/
このたび、ご参加・ご協力をいただいた皆様、本当にどうもありがとうございました!
古谷さんの尾道での体験と、古谷さんが私達に残した示唆が、
これから新たな展開を見せてくれることを願っています。