スタッフブログnakata Labs なかたラボ
nakata Labs 背景担当養成学校!
更新日:2013年10月14日(月)
いよいよコレクションプラス「Paysages 風景画」展は、本日終了となりました。
会期中、イベントなどにも、多くの方にご来館いただきました。本当にどうもありがとうございました。
そして展覧会に関連して、10/12[土]に開催したnakata Labs 「背景担当養成学校」の様子をご紹介いたします。
漫画の“背景”に注目して、好きなページを模写してみよう!!というワークショップです。
今回の講師は、漫画家つるけんたろう先生です。
尾道への移住体験漫画「空き屋もらって尾道、田舎暮らし」のほか、愛嬌たっぷりのイラストのお仕事もされています。
今回は参加者それぞれに、好きな漫画を持参してもらって、
その中から、背景も含めてお気に入りのページを選んで、先生のアドバイスのもとで描いていきました。
前日まで漫画を選ぶのに読み過ぎて寝不足・・・というのは私だけじゃないはずです。
さてさて、まずは原稿用紙に下描きから!
よーく見ながら、丁寧に。
ここで印象が決まるので、しょっぱなから、みなさんMAX集中です。
漫画は、実際に「印刷された単行本で美しく見せる」という複製芸術なので、
原稿ではその120%の大きさで描くのだとか。
縮小すれば、より細かく見えますもんね。
なので、拡大コピーを並べて描いています。
ちなみに絵に自信があるほど、大きい単行本を出す傾向にあるそうですよ。
こちらの方は、パースだらけの神社・・・このページを選ぶなんて!
見るだけでくらくらします。
時間が飛ぶように過ぎていきます。
この辺りで、だいたいの人がお昼ご飯。
中にはお昼抜きで、ずっと描かれていた方も!
まるで締切前の漫画家!?
下書きが完成したら、いよいよ墨汁を使っていきます。
まず、一定の太さで線を描くことができる烏口(カラスぐち)を使って、コマの枠線を引きます。
続いて、つけペンで下書きをなぞっていきます。
力加減が難しいのですが、みなさんどんどんコツをつかんでいってます!
この方の集中&仕事量たるや!ひええ
よくよく観察して描いていると、ペン一本でも、線や点の工夫によって、様々な表現がされていることがわかります。
そして今回のように、“背景”に注目しながら漫画を見るのも、とても新鮮でした。
もともと漫画は、キャラクターも背景も一体で、不可分な表現だとは思いますが、
漫画における“背景”ってなんだろう?と考えてみるのは楽しいです。
単純に、キャラクターの後ろや手前の描かれたものでも、
街並みや室内など、客観的な状況の描写のこともあれば、
点描やスピード線など、漫画的な記号の表現もあり。
黒いベタや、何にも描かれていない白いコマが、なによりも語ることがあったり、
ファンタジックな作品だと、キャラクターがすーっと背景にとけ込んでいくシーンがあったり・・・。
あるいは、回想や想像、なにかの象徴として、背景にキャラクターが描かれることもありますよね。
本当に幅広いです!
果てしない線画が終わったら、黒い部分を塗って(ベタ)、
シート状に模様が印刷されたスクリーントーンを貼って、
コピーした台詞を貼れば・・・
本物とみまごう完成度!!すごいです!!
こちらはなんと、幼稚園に通うお子さんの力作!!
対象をこれほど観察して、似せて描けるなんて・・・しかも付けペンで!
しっぽのしましまが可愛いです。
ちなみに一番早く仕上がったのはこちらの方!
リボンと縁取り模様で描かれた枠線、雪の結晶・・・と、
少女漫画ならではの要素がおもしろいですね!
こちらの方は、「熱血な漫画家が、漫画を描く漫画」を模写しています。
しかも、宇宙的技術という台詞・・・メタなセレクトです!
朝10時から、たっぷり夕方5時30分まで、これまでで一番長丁場のワークショップ。
終了時には半分くらいの方が、完成していました!
惜しくも、仕上がらなかった方(私も含め)は、残りは宿題ということに・・・。
描いてみてよーく分かりましたが、本当に楽しいけれど、大変!です。
漫画家さんは、これを何枚も何枚も、、、。
しかも、今回はあくまで、見ながら写したのであって、
本来はまったく白紙の状態から、ストーリー、台詞、キャラクター、構図、ページ数・・・などなど
さまざまな要素を考え、1から組み立てていくんですよね。いやーすごい!
偉大な、途方のない仕事だなあと、だからこそ多くの人を惹きつけるのだろうなあと感じました。
静かに、熱く燃えたワークショップでした!
ご参加くださったみなさま、どうもありがとうございました!