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美術館で「文体練習」
更新日:2014年6月21日(土)
みなさん「文体練習」をご存じですか?
1947年にフランスの小説家レイモン・クノーが出版した本で、
ひとつの物語(というか状況)が、99通りの異なる文体で書かれています。
文体といっても難しいものばかりではなく、
「いんちき関西弁」、「女子高生風」などから
“あのー”ばっかり入ってくる「あのー」、
“12時の昼頃”や、“ほぼだいたい満員でいっぱい”など、言葉がかぶせられていく「複式記述」、
漢文っぽく書く、「ちんぷん漢文」などなど…
読むだけでも十分すぎるほど面白いこの本を、自分たちで実践してみよう!というワークショップです。
講師は、去年に「MUSEUM BOOKS」でお願いした
福山大学メディア情報文化学科講師の阿部 純さんと、
AIR zine編集室の津口在五さんです。
さっくり文体練習について説明した後、本日の基本文が披露されました。
『美術館で5人の男女が芸術の講習を受けている。講師役は黒縁のメガネをかけた男とおかっぱ頭の女で、二人はアドバイスと称して何かぶつぶつひとりごとを言っているようだ。生徒役の男女は、小さな声で話されるその助言を理解しようとして、席から身を乗り出している。
講習も30分終わったあたりで、美術館の担当者である背の高い男とふわりとした女がその様子を眺め、「ブロクに掲載しないといけないな」と会話しながら、写真に撮っていた。』
まさに、今日の状況をメタ的に表したこの文章を使います。
まずはウォーミングアップで、それぞれの出身地の言葉に変えてみました。
尾道・福山出身の方は備後弁。そのほか島根、熊本、京都、大阪…と
思った以上にあちこちバリエーションがあり、また同じ県でも地域や、年代の設定(私のおじいさんくらい等)によって個性が出て、とても面白かったです。
次にクノーが使ったお題を借りて、文体練習していきます。
(それぞれくじ引きして担当を決めました。)
とにかく遠慮がちな「控えめに」
とぎれとぎれになる「電報」
宣伝っぽく煽りまくる「新刊のご案内」などなど。
難しいものもありましたが、みなさんかなりノリノリで書いてくれて、
ひとつ発表する度に、ほ〜〜とため息や、どっと笑いが沸き起こっていました。
最後は、全員の書いた文章をコピーして、冊子に仕上げて終了です。
表現や演出が持つ、ある種の「いいかげんさ」や様々な可能性を目の当たりにすることが出来る、新鮮なワークショップになりました。
みなさま、ありがとうございました。
また後日、皆さんが書いてくれた内容をじっくりご紹介したいと思います!
ひとまず今日は、“ブログに掲載”、遂行ということで…。