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「アーティスト・ミーティング」 ー静かな物そして、見えない絵画 ー vol.2

更新日:2014年8月12日(火)

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「アーティスト・ミーティング」の続きをお届けします。


第2展示室では、アーティスト・ユニットの「もうひとり」が展示しています。

「もうひとり」は作家の小野 環さんと、当館ディレクターでもある三上清仁の二人によるユニットです。

当日は都合により二人が不在の開催となり、大変申し訳ないながらも、最初に少し電話をつないだ後、私から作品解説をしました。



まずは「もうひとり」の作品タイトルのひとつでもあり、今回の二人の展示に通底するテーマとなった

 “見えない彫刻”

という言葉について。


これは劇作家の岸井大輔さんが、尾道でレクチャーを行った際に生まれた言葉です。


参加者から質問があり、芸術祭やアートイベントが盛んになった近年、

もうひとりの作品のようなインスタレーションなどを、街なかや野外で見る機会が増えていること、

しかし現代アートを見慣れていない人には“美術作品”として認識されにくいのでは?という話になったそうです。



 

そこで岸井さんは同じく街中にある、野外彫刻の存在を挙げました。

たいていは人物や裸婦などがモチーフで、駅前や公園に設置されています。

それらは確かに“美術作品”だからこそ設置されたはずですが、果たして私たちはそれを美術として意識してるだろうか?と、岸井さんは問います。


実際には多くの人が、その存在を知っていたとしても、なんとなく待ち合わせの目印にしているくらいで、美術作品としては見ていないのではないでしょうか。

そればかりか、視線を回避するかのような位置にあったり、植栽やフェンス、看板などの雑多なものに紛れて、物理的に見えなくなっているものすら散見されます。


岸井さんは、そういった彫刻の存在をリサーチするため、facebook上にこの「見えない彫刻を探す」というグループのページを作り、「もうひとり」を含め参加者たちが、そんな彫刻を発見する度に、写真を撮って報告し合っているそうです。


「もうひとり」の作品にはこの “見えない彫刻” のほかにも、街の中で無視されているもの、私たちが見ていない存在がたくさん登場しています。


例えばチラシにもイメージを使った作品〈迷子石〉は、かつて氷河が運んで置き去りにした石=“迷子石”をモチーフにしています。

スイスでは駐車場や道端に、こうした石がごろごろと放置されていて、とても目立っているにも関わらず、そこに暮らす人にとっては、当たり前すぎて見えていないのだそうです。


また〈迷子石〉は、模様を印刷した紙で表面を覆っているのですが、これも見えていないもののひとつ。

焼き杉調のプリントを施した“木目調トタン”という、瀬戸内地域に多く見られる素材の模様です。


古い家が多く残る尾道では、手軽な素材として家の補修などに重宝され、すっかり景観に馴染んでいますが、

コンビニエントなトタンに、伝統的な素材の柄だけをプリントしてしまうという、実はなんとも大胆でハイブリッドな素材です。

それぞれ尾道ではない場所で生まれ育った「もうひとり」だからこそ、気づいた存在でもあり、しばしば二人の作品に登場しています。


ここでは、いわば見えないもの同士が掛け合わされているのですが、なんとも異様な存在感です。



もう一点、〈二つの泉〉というインスタレーションを紹介します。

奥に見える絵画は、美術館のコレクションである〈セザンヌの泉〉。

ルオーがセザンヌを讃えるための噴水のモニュメントのための構想画として描いたものです。

実際にはこのモニュメントは実現しなかったのですが、設置する予定だったエクス=アン=プロヴァンスの街なかには、

元々、装飾された噴水が多くあり、人々の生活になくてはならない、憩いの場になってきたのだそうです。


このインスタレーションでは、想像上の泉に、ふたつの石鹸と、二組のタオルを組み合わせており、この泉で手を洗うイメージが作られています。

見えない彫刻と、迷子になった石、実現しなかったモニュメント、境界を溶かす石鹸・・・などなど、

あらゆるイメージが数珠繋ぎのように展開して、私たちの認識を揺さぶり、新しい風景を見せてくれます。


何を見ていて、何を見ていないのか、そして何を作品とするのか、という問いは美術館にとって、常に意識しなければならないものでもあります。


「もうひとり」の作品は、本展のための新作ばかりで、まだ紹介しきれないほど。

ぜひこの機会に、直接ご覧頂ければうれしいです。

そして、ご本人たちが不在でのトーク開催となってしまったこと、改めてお詫び申し上げます。


8/17(日)、9/28(日)、10/19(日)のそれぞれ14:00〜15:00に、

ミュージアムトーク「学芸員による絵画と本の話」として、ここに書ききれない作品の話をいたします。

ぜひご参加ください。


そして「アーティスト・ミーティング」の報告も、まだまだ続きます!

どうぞお付き合いくださいませ。 

 

 


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