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ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラによるバッハ『無伴奏チェロ組曲』
更新日:2016年7月17日(日)
こんにちは!
いよいよ学校の夏休みも始まり、夏らしい毎日になりましたね。
さて先日、古楽器演奏の寺神戸 亮さんによるミュージアムコンサート
【ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラによるバッハ『無伴奏チェロ組曲』 】をおこないました。
もともとヴァイオリニストとしてデビューされ、
オーケストラなどの第一線で仕事をなさっていた寺神戸さん。
古楽器やバロック時代の演奏法にも造詣が深く、
現在はヴァイオリニストとして、指揮者として、
そして古楽器の演奏家として幅広くご活躍なさっています。
“ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ” は楽器の名前です。
現代のチェロより一本多い、5本の弦を持ち、
チェロの音域をヴァイオリンと同じような運指で弾く事ができます。
“ヴィオローネ Violone” はイタリア語で、大きなヴィオラという意味、
そこに“チェロ cello” 「小さな」という意味がくっついて、“violoncello ヴィオロンチェロ”
なので、ヴィオロンチェロとは、「大きめのヴィオラの小さいやつ」といったところだそうです。
そして“Spalla スパッラ”は「肩」。
抱えるようにして、肩で支えて弾くことから、このように呼ばれています。
時代の変遷とともに、現代では使われなくなってしまった楽器を再現した古楽器のひとつで、
当館ではおなじみのチェンバロも、同じ古楽器の仲間です。
なかでもこのヴィオロンチェロ・ダ・スパッラは
世界に数台しかないという、とてもユニークなもの。
しかし、チェロの定番曲であるバッハの『無伴奏チェロ組曲』には、
この運指ではないと自然に弾く事が難しい部分があるそうで、
自身で所有も所有していたことから、近年の研究では、
実はこの楽器を想定して作られた曲だったのではないかとされています。
チェロよりも軽やかに、そして古楽器ならではの複雑さのある音色で、
難しいイメージのあるバッハが、とてもフレッシュに輝いて聴こえました。
まだ現代のように楽器が規格化される以前、楽器は一点、一点、
注文を受けて作られるものでした。
寺神戸さんは、こうした楽器や演奏法までさかのぼって再現していくと、
楽曲の魅力がいきいきと増していくといいます。
前回のチェンバロミュージアムコンサートに引き続き、
楽器や音楽がたどってきた歴史に思いを馳せつつ、
古いはずなのに、とっても新しい、音の世界を楽しむ時間となりました。
素晴らしい演奏をしてくださった寺神戸さん、企画などでご協力頂いた皆様、
そしてご参加くださった皆様、どうもありがとうございました!