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「和作さん」のお話
更新日:2010年6月30日(水)
尾道の名誉市民「和作さん」こと小林和作。
開催中の「コレクションプラス 水辺の風景」では、和作が油彩や岩彩で描いた《山湖》や《海》など8点を出品しています。
近代の日本洋画檀を代表する画家であり、“民衆の画家”とも呼ばれています。
今日は、その「和作さん」について学習中の尾道市土堂小学校4年生52名が見学に来てくれました。
土堂小学校では「郷土科」という授業で、尾道について様々な角度から学習しています。
「和作さん」についても、今日までにしっかり事前学習しています。白樺美術館や市立美術館へも見学に行ったとのこと。
実は昨年も、その仕上げとして、なかた美術館へやって来てくれたのでした。
ということで、特別に講師をお招きして「和作さん」の話をしていただきました。
尾道在住の画家・村上選さんです。
村上さんは小林和作を直接知っている一人で、昨年同様、講師を快諾してくだいました。
知り合ったきっかけや、印象深い言葉の数々、自らの思い出を温かい言葉で語って下さいました。
生徒さんはみな真剣。熱心にメモメモ・・・。そして、質問の嵐です!
「仲の良かった人は誰ですか」
「目標にしていた画家は誰ですか」
「和作さんが尾道で一番好きだった場所は」などなど・・・
中には「和作さんが好きな女優は誰でしたか」という質問も。
女優よりも、歌手の藤圭子さんがお好きだったようです。
尾道の人々に広く愛されている「和作さん」。
絵を教えたり、ときには金銭的な面倒も見たりしながら『弟子は一人もいない』と自ら語っていたと言います。
そのことについて村上さんは 「和作さんにとっては我々若者に対しても上下関係ではなく前後の関係。
自分は早く生まれて、いろいろな経験をしているから、若い人にそれを分けていこう。という心持ちだったのでは・・・」 と。
『世の中で一番面白いのは、人の喜ぶ顔を見ること』とも、いつも語っていたそうです。
自分のためでなく、誰かのために行動するのは、口ではたやすいですが、なかなか実践できることではないですよね。
改めて、今なお「和作さん」が愛される理由が分ったように思います。
村上選さんには、ここには書ききれない程、たくさんのエピソードを紹介していただきました。
一人の画家の、教科書には載らないような人間としての面を知る、良い機会となりました。
美術館として、このような場を提供できるのは嬉しいことです。
村上さん、先生方、生徒のみなさん、どうもありがとうございました!