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「アーティスト・ミーティング」 ー静かな物そして、見えない絵画 ー vol.3

更新日:2014年8月17日(日)

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尾道の今日は、久しぶりに晴れて暑い一日でした!

昨日の村上友重さんのワークショップのことも載せたいのですが、その前に「アーティスト・ミーティング」の報告の続きを・・・。

第3展示室に進んで、安田暁さんのトークです。



安田さんは、主に写真を媒体にしつつ、カメラを使わない写真や、「ある操作」を加えた写真を制作されています。

例えば、印画紙の上に直接、光るものを載せて感光させたり、プリントした写真の一部を覆ったり、複数のイメージを焼きつけたりなど・・・

安田さんはそれらの行為を、「まっすぐにしか進まない光を、むりやり曲げるようなこと。」という言い方で表していました。



写真といえば普通は、カメラを使って、実際に見えているものを、正確に写し撮ったものですよね。

しかし安田さんは写真を撮ることで、私たちが見失っているものや、見えていないものを浮かび上がらせていきます。

 

例えば 〈山を見る〉 では、写真にとって風景の一部を、金箔で覆っています。

覆われているのは、尾道駅の背後にそびえる“尾道城”。

実は“尾道城”は、個人によって建てられたフェイクの城で、当時は展望台だったのですが、現在は立入禁止の廃墟となっています。


街を訪れる人からは一番に目立つ場所にありながら、その街に住む人からは見放されてしまった、という矛盾した存在。

それを覆う金箔は、装飾ではなく、光の代わりとして使われています。

写真は、光がなければ写せませんが、光が多すぎると、写真には何のイメージも残りません。

金箔を光に見立てて、写真に写ったイメージを消してしまう、という作品です。

城がない千光寺山は、とてもありふれた山に見えます。

私たちは日頃、自分が見たいものと見たくないものを取捨選択して、見たくないものからは、上手に目を背けてはいないでしょうか。

尾道の風景の中には、実はそうやって視線から外れてしまうものが多いのではないかと思います。



また展示のはじめには、三岸節子の絵画と、安田さんの私物であるランプを置いています。

このランプは、もともと安田さんのお父さんのもので、とてもとても大切にしていらっしゃったものだそうです。

でも、お父さんが大切にしていた理由はよく分からない、とのこと。

安田さんの作品〈ランプ/ゴースト#1〉は、このランプを被写体にして、モノクロで一度焼いた写真の上に、色だけをまた重ねて焼いています。

少しずれて、うすくゆらめく色は、まるで幽霊のように見えます。

安田さんは、写真を撮ろうとすること自体が、幽霊のように不確かなものを見ようとすることなのでは、と語ります。

 

また三岸節子は、お祖母さんが好きな作家だったこと。

しかし自分は正直、今までは三岸節子を良いと思ったことはなかったこと。

でもこの作品は、意外と面白いと思えて、フォルムと色がそれぞれ別の方向を向いているように見えると話してくれました。

 

 

なかた美術館の絵画は、もともと一人のコレクターによって、ほぼ個人的な動機で収集されてきました。

その中から、再度プライベートな理由で作品が選ばれ、見られるというのは、とてもまっとうなことのように思えます。

ある作品が、誰かにとって重要なものになるのは、必ずしも、美術史的に重要であることや、“巨匠”が描いたからではなく

個人的な気づきや、私的なつながりがあるからだろうとも思います。

それぞれの作家の方に選んでもらうことで、コレクションに新しい姿が与えられているようで、そこも本展の見どころのひとつになっています。


とお誘いしつつ、明日18日(月)〜22日(金)は夏期休館となります。

大変申し訳ございませんが、どうぞご注意下さい。

休み明け8月23日(土)から通常どおりの開館です。またどうぞよろしくお願いいたします。



(上から2枚目、3枚目、4枚目:photo by Motohiro Ozaki)

 

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