広島県尾道市(しまなみ)の美術館/ポール・アイズピリ、ピカソ、ルオー、小林和作、梅原龍三郎、中川一政、林武などを所蔵。チェンバロによるコンサートやフレンチレストランでの食事も楽しめます。

 
なかた美術館
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職場体験を実施しました

更新日:2023年10月15日(日) 【nakata Labs  なかたラボ】

こんにちは。

先日、なかた美術館では職場体験を実施しました。新型コロナウイルス感染の影響によりしばらく実施ができませんでしたが、3年ぶりに再開することができました。


今回は市内の2つの中学校からそれぞれ2名ずつ、計4名の方が来てくださいました。

 

まずは学芸員と一緒に館内を回り、展示や作品について学びます。

 


その後、実際にお客様と接する受付の仕事にも挑戦してもらいました。

緊張することも多かったと思いますが、しっかりと取り組んでくれました!

 

 

9/9(土)から開催の『日本の風土と油絵』展の展示作業も行いました。

解説パネルの設置や、スクラップの展示など、慣れない道具や細かな作業に苦戦しながらも、展示を完成させてくれました。

 

 



別の学校から来てくれた2人には受付対応の他に、展示作品のリサーチをしてブログに紹介記事を書いてもらいました。



以下は、それぞれ2人が書いてくれた記事です。作品の写真も2人が撮影しました。


 


モーリス・ド・グラマングの『チーズとハム』という作品を見て気が付いたところや考えたことは、1つ1つの絵の色に濃い色や深い色が沢山使われていて薄くしたり濃くしたり重ねたりして似たような色でも何色も使って細かくリアルに塗られていることや、作品名の通りチーズケーキとハムの絵も描かれていて、他の絵は黒やグレーなどの暗い色がメインに沢山使われているけれどチーズケーキとハムは他の絵には使われていない赤や白などの目立つ色が沢山使われていて近くから見ても遠くから見てもチーズケーキとハムが1番最初に目に入るくらい赤が強調して見えるところから『チーズとハム』と言う作品名になったのかなと言うところです。どの距離で見るかによって見え方が変わっていて、近くで見ても綺麗な作品ですが、遠くから見ると本物に近くもっと綺麗な作品に見えるので見え方にも工夫されているのかなと考えました。

 

 

●作家について

ポール・アイズピリ

 

●取り上げた作品

パリ・セーヌとノートルダム

 

●制作年

1955

 

●素材

油彩 キャンパス

 

○内容

パリの中心シテ島にあるノートルダム大聖堂の背面をサン・ルイ島から川越に見た構図です。アイズピリはパリ・モンパルナス生まれの画家で、第二次世界大戦後に力強い具象表現で活躍した画家です。この作品では大聖堂の存在感とセーヌのゆるやかな流れが、重厚な色彩と迫力のある筆致で描きだされています。

 

○展示方法ついて

この作品は主にセーヌ川とノートルダム大聖堂が特徴の作品です。この作品の展示方法で小さな絵画の中に大きな絵画があって目立ちやすく、照明の光の当たり具合がよくて明るい色を使って表現しているこの作品とマッチしていてとてもいい展示方法です。

 

○意見

・タッチが力強く、そして細かく表現されており、建物の金蔵光沢や水面を反射がよく分かる作品です。

・反射に使用した橙色で、太陽の場所や動きが良くわかる作品です。

・河岸のレンガには、ツタ植物やコケなどが描かれていて時代を感じる作品です。

・空の真ん中が白く明るい雲を表していると感じ、端に行けば行くほど青く静けさを表現しています。

・船が通った所の場所の波紋や泡を表現して絵の中でも物が動いている、そんな事を感じさせる表現を使用しています。


 


2人とも作品をよく観察して細かく分析してくれました!新鮮な眼差しで作品を見てくれたので、いつも作品を見ているスタッフでも気づかないようなことも書いてくれていました。


職場体験に来てくれた4名の皆さん、3日間お疲れ様でした!

見守っていただいた来館者の皆様、お世話になった地域の皆様も、ありがとうございました。




 

ワークショップ「絵の具を作ろう」を開催しました

更新日:2023年10月8日(日) 【nakata Labs  なかたラボ】

 

こんにちは!

先日開催したワークショップ「絵の具を作ろう」の様子をお伝えします。

 

開催中の展覧会では、梅原龍三郎の作品を並んで3点ご覧いただけます。

 

1つ目は油絵具と岩絵具の両方を使った作品、

2つ目は東洋原産の花「牡丹」をモチーフにした油彩画、

そしてもう一つは富士を描いた日本画。ただし油彩画のような筆致で大胆に描かれています。

ちなみに油絵具は西洋発祥の絵具、岩絵具は日本画として使われている絵具です。

 

なんだか面白い試みをしているなと思いませんか?

 

 
 

「何を描いているか」も鑑賞を楽しむための要素ですが、

このように「何を使って描いているか」という切り口で見みるのも面白さの一つです。

鑑賞の窓を広げるために、今回は絵具についてみんなで学びました!

 

まずは絵具の仕組みについて。

絵具は大きく分けると二つの素材からできています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

顔料(色の素となる粒)+展色材(糊の働きをする素材)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

例えば、黄色い絵具の中には黄色い粒がたくさん入っています。

 

 

そして、その顔料を紙やキャンバスなどの支持体に留まらせるために、展色材を混ぜ合わせます。

 

油絵具は文字通り「油」が展色材。油は酸化すると固まる性質があります。

日本画の展色材は「膠」という動物の皮から取れたコラーゲン。

そして水彩絵具は樹脂です。

 

 

もう少し掘り下げて、顔料そのものの成り立ちも学びました。

 

顔料にはいくつか種類があり、石や土など天然の素材からできているもの、

金属類を化学反応させてできたもの、

石油から取れる成分を化学変化したものなどがあります。

 

下の写真の「ローアンバー」や「イエローオーカー」は土を原料とした顔料。

自然界にある馴染み深い色味ですね。

 

 

鮮やかな色は、ほとんどが化学反応で作られています。

この鮮やかなピンク色の顔料のように、

胡粉という貝の粉や白い土に色を移して顔料にしたものもあります。

 

 

 

 

それでは実際に絵具作りをしてみましょう。

顔料にアラビアゴムという天然の樹脂を少量づつ混ぜていきます。

 

 

ヘラでゆっくりゆっくり混ぜ合わせます。

簡単そうに見えますが、粉が飛び散らないようにじっくり丁寧に混ぜ合わせなければいけません。

 

 

 

しっかり混ぜ合わせ、トロンとしたとろみになったら完成!

小さなトレーに入れて乾かしたら、固形水彩絵の具になりました!

 

 

 

 

いろんな色が並ぶとワクワクしますね!

 

 

ワークショップの様子は、まるで実験室のようでした。

美術は色んな分野と地続きだなあとつくづく思います。

(もう少し化学の基礎知識を身につけなければ!)

 

絵画の中の絵具も実は「物質」の一つ。

そんなことを考えながら絵を描くと、新しい発見があるかもしれません。

 

参加者の皆さん、ありがとうございました!

 

 

 

ワークショップ「夏休み子ども絵画教室」を開催しました

更新日:2023年9月3日(日) 【nakata Labs  なかたラボ】

「木曜日の絵画教室」のお試し版、「夏休み子ども絵画教室」の様子をお伝えします。

7月、8月と2回開催し、それぞれ異なったプログラムで開催しました。

 

第1回の7月は「支持体の違いを体験しよう!」

なかた美術館に展示している作品は、ほとんどがキャンバス(麻の布に下処理を施したもの)に描かれています。

 

 

キャンバスは紙よりも丈夫で油絵具で描くのに適しています。

作品をよく見てみると、布目のでこぼこしたタッチを見つけることができます。

 

ウォーミングアップとして、色鉛筆、水彩絵の具でドローイングリレーをしました。描き心地はどうでしょう?

 

 

布+水彩絵具はざらざらして描きにくい様子でした。

 

 

紙に描くとどうでしょう。

布に描いたときに現れる表情とはまた違った味わいです。

また、同じ紙という素材でも、でこぼこした水彩紙とツルツルしたケント紙では適した画材が変わってきます。 

 

 

そのあとは小さなキャンバスに思い思いに絵を描きました。

麻布のキャンバスを貼ったもの、水彩紙を貼ったものを2種類用意して描き心地の違いを体験しました。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

にじみの具合がキャンバスと水彩紙では違っています。

支持体と描画材の組み合わせで、表現の幅が広がりますね。

 

 

そして8月、第2回目はコラージュ。

いろんな色の色紙を使って貼り絵を作りました。

テーマは「季節」。まずは作品を鑑賞して作品の中の「季節」を想像します。

 

 

「寒そう」「暑そう」「雪が降っていそう」「雨が降っていそう」など色んな意見がありました。

ではなぜそう思うのでしょう?

絵の中のどのあたりが根拠になっているのか考えます。

言葉にするのは難しいですが、モチーフや色合いから想像している方が多かったです。

これらをヒントに色紙を組み合わせてある季節の風景を作りました。

 

 

 

 

暖色、寒色から受ける印象、木々の葉っぱの色合いや太陽の色。

 

 

抽象的な形でも、その季節を想像することができます。

 

 

 

 

私たちが普段何気なく体験しているものの積み重ねが、こうやって作品を作るためのアイデアとなります。

その体験と表現の結びつきは個人差ががあり、それもまた面白さのひとつです。

 

 

 

 

作者はどんな季節を思い浮かべて作ったのか、想像してみてください!

 

 

 

 

なかた美術館の絵画教室は、いかに美術に興味を「持ち続けるか」が(裏?)テーマです。

美術に興味を持ち続けていれば、色んな作品に出会えたり、たくさん作品を作ったりできます。

(制作の経験が増えるほど、自然と技術も身につくはず!という願いも込めて…)

 

今回のワークショップで、「美術館って面白い場所だなあ」って思ってくれていたら嬉しいです!

参加者の皆さん、ありがとうございました!

 

 
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広島県尾道市(しまなみ)の美術館 コレクションは、フランス現代具象画家ポール・アイズピリ、ピエール・クリスタン、エコール・ド・パリを中心としたフランス近代絵画、梅原龍三郎、中川一政、林武ら日本近代絵画、尾道を代表する小林和作、絵のまち尾道四季展招待作家作品など、国内外の洋画を中心とした約200点。
音楽鑑賞の場として、所蔵のチェンバロを中心としたバロックコンサートを定期的に開催するほか、ジャズやクラシックなど様々なジャンルの演奏家によるディナー付きコンサートも企画・開催しています。併設するフレンチレストラン「ロセアン」では、ランチ・ティータイムはもちろん、美術館閉館後もゆったりとした空間でライトアップされた庭園を眺めながらの本格的なディナーが楽しめます。

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