ミュージアムコンサート「響き合うバロック−チェンバロとバロックチェロで奏でる−」を開催しました
更新日:2023年4月28日(金) 【コンサート】
皆さんこんにちは。すっかり桜の花も散って葉桜の季節になりました。
なかた美術館では4/16(日)に、2023年初めてのミュージアムコンサートを開催しました。
今回は、バロック時代の楽器によるプログラムでした。
バロックチェロは永瀬拓輝さん、チェンバロは小田郁枝さんの演奏です。
今回のコンサートは間に休憩を挟んだ2部制でお送りしました。
まずはチェンバロの演奏から始まります。F.クープランの「第6オルドル」より「田園詩」、「羽虫」、「神秘のバリケード」の3曲を演奏していただきました。
「田園詩」は聴いてるとのどかで穏やかな風景が目に浮かぶようです。「羽虫」は虫の羽音がチェンバロの音色で再現されている面白い曲です。虫が苦手な人も楽しめる曲でした……!「神秘のバリケード」のタイトルが表しているのは、宮廷に集う貴婦人たちのドレスのことだそうです。その名の通り、華やかできらびやかな印象を持たせる曲でした。
続いて演奏されたマッスの「チェロソナタ No.5 変ロ長調」は、チェロのための曲が少なかったフランスにおいては、最も古いとされているチェロソナタです。人の声に最も近いといわれるチェロの音色は、重厚さや深みを持ちながらもとてもあたたかく感じられるものでした。
コンサートの後半では、最初に永瀬さんからチェロについての簡単なレクチャーがありました。チェロは他の楽器と比べて温湿度などに左右されやすく、演奏の前には毎度チューニングが必要だそうです。永瀬さんが演奏されるバロックチェロは、エンドピンという床に直接接地して楽器を支える器具が付いていません。そのため、足でチェロを挟むことで固定をして演奏します。エンドピンが無いことによってチェロは格段に軽くなるそうです。普段見るチェロと、古楽器であるバロックチェロの違いについてもわかりやすく解説していただきました。
その後はバッハの「無伴奏チェロ組曲」など皆さんもどこかで聴いたことがあるような、耳になじんだ曲を演奏してくださいました。
その後の「インヴェンション」は元々バッハが子どもたちのチェンバロの練習のために作った曲でしたが、今回はバロックチェロとチェンバロの2つの楽器で演奏していただきました。普段あまり聴くことができない組み合わせでの演奏なので、2つの古楽器の音色は調和しつつもとても新鮮なもののように思えました。
今回は、前日の4/15(土)にチェンバロの総点検も行いました。メンテナンスの様子は来館された方々にも公開しており、3年に一度のオーバーホールだったので、細部の部品まで一つ一つご覧になる方もいました。
総点検後のチェンバロの新鮮な音色と、普段はなかなか聴くことができないバロックチェロの音色でのコンサート、いかがでしたか?
ご来場いただいた皆さま、ご出演いただいたお二方、チェンバロを点検していただいた調律師さま、ありがとうございました!
次回のコンサートは6月25日(日)チェンバロミュージアムコンサート&レクチャー
『How to play the チェンバロ vol.3!!』
毎年恒例のチェンバロ奏法レクチャーを兼ねたコンサートですが、なんと今回は実際にチェンバロを弾く演奏体験もしていただけます!演奏をご希望の方はご予約の際にお申し出ください。
それでは、また次回のコンサートでお会いしましょう!
ワークショップ『パリの額縁職人』を開催しました
更新日:2023年4月12日(水) 【nakata Labs なかたラボ】
先日のワークショップ『パリの額縁職人』の様子をご紹介します。
当初は工芸も学んでいた画家ポール・アイズピリにちなんで、額縁づくりを行いました。
まずは美術館のなかで、作品がどんな額縁に入っているか観察していきます。
作品はもちろん様々ですが、額縁も様々なものがあります。
とても分厚いもの、薄いもの、シンプルなもの、入り組んだ彫刻があるもの、手書きで模様が描かれたものまで、作品を保護し、引き立て、目立たせる、様々な機能を持っています。
この日は天気もよかったので、外にテーブルを出して作業をしました。
本来の額縁づくりでは木を彫ったり、型取りした石膏で装飾しますが、今回は土台となる額縁に木片や貝殻を貼り付けて装飾していきます。
木片の形はシンプルな三角や長方形だけ。どんな模様が作れるかは並べ方次第です。
こちらの貝殻は併設のレストランからもらった鮑貝です。
よく洗って、砕いて、尖ったところには少しヤスリがけをしました。
天然の光沢とランダムに割れた形が、なんとも魅力的です。
鮑貝には東洋の螺鈿(らでん)に使うものというイメージがありますが、貝を用いた装飾は世界各地に見られます。
パーツをそれぞれのリズムで並べると、楽しい模様ができていきます。
裏の留め金をつけるため、インパクトドライバーにも挑戦しました。
気をつけて使えば、簡単にネジをつけることができますね。
当初は木片をつけたあとで、全体を塗装してアンティーク風に仕上げる予定でしたが、
みなさん素材そのものの色を生かした素敵な模様をつくっていたので、無塗装で仕上げることにします。
時間が余った方は、額縁に入れる絵を描いたり、庭で拾った花を押し花にしたりしました。
ちょっとした作品も、額縁に入れることでより作品らしく見えるから不思議です。
何を入れるか考えるのも楽しいですね。
ぜひご自宅でも、いろんなものを試しながら、飾っていただけたら嬉しいです。
ご参加の皆様ありがとうございました。
みなさんも、ぜひ絵画を鑑賞する際は、額縁にも注目してみてくださいね。
「パリの馨り -フランス近代絵画コレクション-」
更新日:2023年3月8日(水) 【展覧会】
あっという間に季節が移り、ずいぶん春らしくなってきましたね。
当館では展覧会「パリの馨り -フランス近代絵画コレクション-」が始まっています。
フランスは中世以来、西ヨーロッパの中心として多様な芸術文化を育んできました。
特に19世紀以降のパリは、近代化とともに多くの画家や作家が集い、個性豊かな作品が生み出された街です。
本展では当館のコレクションから、パリで生まれた画家や、様々な国や地域からパリに移り住んで活躍した画家たちの作品を展示しています。
今回の見どころの一つが、パリのモンパルナス地区に生まれた画家ポール・アイズピリの初期の作品群です。
明るい色使いと軽快なタッチで語られることが多いアイズピリですが、初期の作品には意外なほど重厚な色彩と、力強いマチエールを見ることができます。
音楽鑑賞の場として、所蔵のチェンバロを中心としたバロックコンサートを定期的に開催するほか、ジャズやクラシックなど様々なジャンルの演奏家によるディナー付きコンサートも企画・開催しています。併設するフレンチレストラン「ロセアン」では、ランチ・ティータイムはもちろん、美術館閉館後もゆったりとした空間でライトアップされた庭園を眺めながらの本格的なディナーが楽しめます。